『シュヴァンクマイエル映画祭2004』トークショ−

第2回トークショー
会場:シアターイメージフォーラム
時間:19:00〜 
ゲスト:山村浩二(アニメーション作家)

先週に引き続き、トークショーに行ってきました。今回は、アニメーション作家の山村浩二さんがゲストでした。会場は立ち見有りの大盛況で、(ちなみに、トークの後のプログラムは『アリス』、客層は20代中心、7〜8割女性が占めている印象を受けました。)会場の賑わいぶりに山村さんも少し驚かれていて、『10年前のこういう作品の上映は、席がガラガラだったのに・・・』と苦笑いされていました。
トークでは、山村さんが予め準備しておいたシュヴァンクマイエルに関するネタを話してくださったのですが、どの話も面白く、興味深く聞かせて頂きました。山村さんも楽しみながらトークされているような雰囲気でしたよ。以下、内容を簡単にメモしておきます。(記憶力が良い方ではないのでその辺も加味して読んで頂けると幸いでございまする。)


ヤン・シュヴァンクマイエル作品との出会い。
1991年に開催されたフィンランドのアニメーション映画祭で、『家での静かな一週間』という作品を見たのがシュヴァンクマイエル作品との出会いです。(その後、そのときの感想が色々語られました。)

シュヴァンクマイエル作品で多用される、食べるという行為について
(山村さんは)作品の中で登場人物がモノを食べるという行為に興味があり、アニメーションという実在しない世界の中で、出来るだけおいしそうに食べているように見せたいと思っています。自分の思いとは反対に、シュヴァンクマイエルの作品に出てくる食事の風景は奇妙だし、食べ物自体もドロドロした液体のようなものが出てきたりし、明らかにおいしくなさそう。まるで食べ物や食べるという行為に憎しみを持っているように見える。
シュヴァンクマイエルはかなりの偏食家で、幼児期から好き嫌いが激しかったようです。チェコでは好き嫌いがある子供を集めて、集団合宿を行うそうなのですが、このことがトラウマになりさらに食べ物への嫌悪感を抱くことになったようです。このような食に対する憎しみのようなものが作品の中に随所に表現されています。

◆アニメーション作家の視点でシュヴァンクマイエルの作品を観ると
シュヴァンクマイエルは30歳までは演劇の分野で活動を行っていたのですが、あまり旨くいってなかったようです。初めて映像作品(『シュヴァルツェヴァルト氏とエドガル氏の最後のトリック』 )を作ったのは30歳になってからで(シュヴァンクマイエルは1934年生まれ)、その年に僕が(山村さん)生まれました。(1964年生まれ)シュヴァンクマイエルは、映像の創作をシュルレアリストとしての活動として行っていて、自分のことをアニメーション作家だと思っていないし、そう思われることを嫌っています。
アニメーション作家の視点でシュヴァンクマイエル作品を観ると、アニメーションの部分は荒いです。ただ、その荒さが大胆なカットに繋がっていて、独自のリズムを作り出していると思います。長編を作るようになってからは、アニメーション制作を他のアニメーターに任せることが多いようです。ただ、アニメーターを劇団員と見なし、稽古をつける感覚で指示を出しながら制作するので、シュヴァンクマイエルの色はかなり濃く出ています。

シュヴァンクマイエルの作品はやはり凄いなと思ったエピソード
男子中学校で講演を行ったとき、アニメーションの上映も行ったのですが、ユーリ・ノルシュテインやポール・ドリエセン、ノーマン・マクラレン等の作品にはあまり反応しなかった学生が、ヤン・シュヴァンクマイエルの『対話の可能性』の上映時に、拍手喝采、大うけしていました。
ヤンの生理的な感覚に訴えるような表現が、思春期の学生の感性を触発したようで、シュヴァンクマイエルの映像の持つ、潜在的な力を再認識することになりました(笑)。

(※不確かな部分ばかりなので、無断転写・転載・複製はお控え下さいー。)

シュヴァンクマイエル映画祭2004トークショー
関連LINK:@niftyCINEMA【Super Report】[写真有り]
第2回7/24[土]19:00〜 
ゲスト:山村浩二(アニメーション作家)
山村浩二監督がゲストで登場!『ヤン・シュバンクマイエル映画祭2004』

シュヴァンクマイエル映画祭2004】トークショー
BACK(id:unun:20040717#p3)
ゲスト:吉野朔実(漫画家)+くまがいまき(チェコ映画)
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ゲスト:しまおまほ(漫画家)+木内昇(spotting編集長)