Zdenek Liska*ズデニェク・リシュカ

unun2004-10-09

●ズデニェク・リシュカ(1922-83年)
リシュカは1946年にバチャのスタジオ(ズリーンにある)に就職、映画音楽を担当する。
ゼマンやティールロヴァーにしばしば依頼され、アニメ映画60本強をはじめ、ドキュメンタリーや短編などを400本、実写長篇を160本以上担当し、その大掛かりな活動が注目されている。リシュカはチェコ最大の映画音楽作曲家であろう。彼は、ゼマンと同様チェコの風土、民話や民謡から影響を受け、チェコそのものを楽譜に綴った。
(アニメーターズ1『カレル・ゼマン』より抜粋)

関連:
Zdenek Liska – filmografie

今回はチェコの『ズデニェク・リシュカ』ネタを。
以前『シュヴァンクマイエル映画祭2004』に備えて、ヤンの作品を制作年度順に見直しているときに、触覚テイストが色濃く取り入れられている後期の作品より、初期の作品の方が面白いかもと思いはじめ、さらに調べてみると好きな作品の多くをズデニェク・リシュカが音楽を担当していることを知ることに。(ちなみに、かなり好きな『家での静かな一週間』は音楽ナシ。)yaso2-を引っぱり出してちょっと調べてみると、ヤンへの質問の中に音楽に関するものがあったので読むと、ヤンはリシュカに相当リスペクトしていて、リシュカが亡くなった後は、結局代わりを見つけることが出来ず、リシュカの代わり雑音や既存の曲を多様するという手法を用いているとのこと。確かに、リシュカが音楽を担当している作品は、音と映像が絶妙に合っているので、観ていて心地良い。
でももしかしたら、いろんな上映で目にする後期の『対話の可能性』や『男のゲーム』等より、初期の作品の方が新鮮味があって面白いと感じるのかも。そういえば、先日観に行ったエルメスのプログラムでも、レン・ライの作品に挟まれて『対話の可能性』が上映されていて・・・(汗)。初めて観る人には新鮮だったかもしれませんが、個人的には『エトセトラ』あたりがバランスとれていて良かったような気が・・・

ズデニェク・リシュカが音楽を担当したシュヴァンクマイエル作品
●棺の家[1965/10min]
●エトセトラ[1966/7min]
●自然の歴史[1967/9min]
●部屋[1968/13min]
●ドン・ファン[1970/30min]
●コストニッツェ[1970/10min]※
●ジャバウォッキー[1971/14min]
●レオナルドの日記[1973/12min]
●オトランタの城[1977/18min]

関連:
ヤン・シュヴァンクマイエル「ジャバウォッキー」その他の短編 [DVD]ヤン・シュヴァンクマイエル「ドン・ファン」その他の短編 [DVD]

※ひたすらナレーションのみの『コストニッツェ』には、リシュカの音楽による2ndバージョンが存在するそうです。(『ヤンの食卓』参照

関連:ズデニェク・リシュカが音楽担当のクエイ兄弟の作品
●ヤン・シュヴァンクマイヤーの部屋[1984/14min]

ちなみに、ブラザーズ・クエイによるヤン・シュヴァンクマイエルへのオマージュ作品として知られるこの作品の音楽もズデニェク・リシュカ担当。リシュカが亡くなったのが1983年なので、この作品[1984]がどのように制作されたのか疑問だったのですが、作品で流れる曲は、コストニッツェ[1970]の2ndバージョンで使われているものと同じだそうです。(『ヤンの食卓』参照

ブラザーズ・クエイ関連:
クエイ兄弟の映像(CF等)を観られるサイト

先日、ヘルミーナ・ティールロヴァーのDVDが発売になりましたが、収録されている作品の音楽の多くをリシュカが担当しているので、抜粋しておきます。ティールロヴァーは生涯に50本以上も作品をつくっているので、未公開の作品を中心にまた特集を組んで欲しいものです。

ズデニェク・リシュカが音楽を担当したヘルミーナ・ティールロヴァーの作品
●ミーチェク・フリーチェク[1956/18min]
●十人十色[1958/10min]
●機関車くん[1959/14min]
●豚飼い王子[1958/14min]
●迷子の人形[1959/19min]
●仕返しの日[1960/11min]
●知りたがりの手紙[1961/21min]
●毛糸のお話[1964/10min]
●青いエプロン[1965/8min]
(『チェコアニメの巨匠』で確認出来るもののみ抜粋)

関連:
ヘルミーナ・ティールロヴァー 「二つの毛糸玉」その他の短編 [DVD]ヘルミーナ・ティールロヴァー 「結んだハンカチ」その他の短編 [DVD]

カレル・ゼマンの作品にもリシュカが音楽を担当した作品が多い。ゼマンとティールロヴァー、そしてリシュカはズリーンを拠点に活動していたので繋がりが濃いのかもしれません。ちなみにプラハのスタジオを拠点に活動した、同時代の巨匠トルンカの作品にリシュカが音楽を担当した作品はありません。

ズデニェク・リシュカが音楽を担当したカレル・ゼマンの作品
●プロコウク氏シリーズ[1947-1959]
●ハムスター[1946/8min]*
●水玉の幻想[1948/11min]
●王様の耳はロバの耳[1950/31min]
●鳥の島の財宝[1952/72min]
●悪魔の発明[1958/78min]**
●ほら男爵の冒険[1961/83min]**
(アニメーターズ1『カレル・ゼマン』より確認出来るもののみ抜粋)
*ハムスターに関してはDVD裏面より
**印に関しては、以下に素敵な情報があります。

関連:
カレル・ゼーマン作品集 [DVD]幻想の魔術師 カレル・ゼマン コレクターズBOX [DVD]