甘い生活

unun2004-04-24

第2次世界大戦後、ソ連の共産ブロックに入ったチェコスロヴァキアでは、ロシアの社会主義リアリズムの影響が色濃く反映され、絵画や彫刻などの純粋な芸術は、当局により発表の機会を奪われていたようですが、応用芸術であった映画配給用ポスターの需要がなくなることはなく、美的感覚を育てるという名目で比較的自由な表現が許されていたそうです。
また、ポスター制作は芸術家だけでなく、映画監督や脚本家、大道具などフリーランスで仕事が出来たので、様々な表現者によって洗練され、映画を抽象する傑作が次々と生まれたようです。

右の写真は、このような背景から作り出されたフェリーニの『甘い生活』のポスター(レプリカ)です。ポスターの艶かしい女性像が、マストロヤンニと大富豪の娘やハリウッド・スター繰り広げる甘い生活を彷彿とさせ、その女性の横顔に止まっている蝶(蛾?!)の存在が友人の不慮の事故、乱痴気騒ぎを暗に示しているようだ・・・なんて解釈がいろいろ出来て楽しいです。


関連:http://d.hatena.ne.jp/unun/20040425
チェコポーランドのポスター』展*posters from east Europe
TSUTAYA TOKYO ROPPONGI 2004.4.16(金)〜5.12(水)
http://www.utrecht.jp/