川本喜八郎[2](計112分)

能の「求塚」を土台に、二人の男に愛されて自ら命を絶った乙女が、死してなお地獄の業火に焼かれ続ける壮絶な物語『火宅』は、『道成寺』の雰囲気を引き継ぎつつ、「絵でもないし立体でもない」独自の世界を創出した。また『蓮如とその母』は室町中期に現れ、親鸞の教えを広く人々に伝えた蓮如の生涯をもとにした歴史アニメーション。川本唯一の長篇作品で、シナリオには新藤兼人を迎え、一度に90体もの人形を動かすダイナミックな群衆シーンもある。撮影は1年を超え、武満徹の音楽や豪華な声の出演陣でも注目に値する。
火宅(‘79・19分・35mm・カラー)
蓮如とその母(‘81・93分・35mm・カラー)