『ベルヴィル・ランデブー』

unun2005-01-10

  • 原題:LES TRIPLETTES DE BELLEVILLE
  • 2002|フランス=カナダ=ベルギー|80min|
  • ヨーロピアンビスタ|ドルビーデジタル
  • 公開日: 2004/12/18-2005/01/18
  • 劇場情報:テアトルタイムズスクエアほか全国にて順次公開中

●注:この作品は予備知識なしの方が楽しめると思います。

今日、『ベルヴィル・ランデブー』を観て来ました。今回で2回目です。
実は1回目は途中でウトウトとしてしまい、内容がよく分からなかったのです(汗)。この作品の評判の良さと予告編で流れているテーマ曲の印象が強く、全編をデフォルメされまくったアニメーションとテンポの良い音楽で構成されていると勝手に思い込んでいたら、想像と全く違っていて・・・(汗)。不覚にも途中で睡魔が訪れてしまいました。

途中でウトウトしてしまったとはいえ、画の魅力は確かなものがあったので、もう一度通しで観ておきたいと思い、2回目の鑑賞に至った訳ですが、台詞を殆ど用いず画の動きだけで展開していくセンスはやはり凄いです。再度観に行って良かったです。
この作品は音楽も魅力的ですが、台詞が殆どないので『音』が作品を通して重要な役割を果たしているような気がしました。くり返し用いられる電車の通加音、それに反応するブルーノの吠える声、自転車を漕ぐ音、車輪のホイールの叩く音、3姉妹の用いる楽器?!の音等・・・。また、登場人物や舞台はデフォルメされているのですが、ひとつひとつの動きがよく観察されてつくられているので妙に説得力があり、それらで構成される世界観に浸っているだけで楽しかったです。
ストーリー展開の方は後から考えると、老婆が車輪のホイールを叩いて奏でる音に誘き寄せられた3姉妹と出会う展開は都合が良すぎるし、そもそも全編通して老婆の魅力で満ち溢れているのに、フランスでの原題『LES TRIPLETTES DE BELLEVILLE』 (『ベルヴィルの三姉妹)ってどうなの??(笑)と思ったりと、ちょっと強引なところもあるのですが、場面展開に置き換えやメタモルフォーゼ等が用いられて旨く繋がれていたり、途中に繰り返し挿入される『電車の通過シーン』、『ブルーノの夢』も作品にアクセントを与えていて、テンポが良いのであまり気になりませんでした。そもそもストーリーの細かい部分を突っ込むのは、ナンセンスな気もします。なにせ、主人公格の老婆は感情の起伏もなく坦々と行動し、孫のシャンピオンは自転車(三輪車)を与えられた時とラストのシーンでは表情があるものの、後はひたすら無表情。スウィング・ジャズで魅了してくれる3姉妹も、好物が○○○だったりして(から揚げにすると旨いですが)、とにかく登場人物に主観を介入し辛いつくりになっていて、客観的にこの作品と向かい合うことになるので、ストーリーはそれ程重視されていない気がします。ラストもあっけない幕切れですし。それでもこの作品に惹き付けられてしまうのは、緻密な舞台設定や美術の面白さ、そして純粋にアニメーション表現が優れているからなのだと思います。
ストーリーや音楽に過剰な期待を寄せると物足りないかも知れませんが、良質なアニメーションを堪能したい方は、残り上映期間も短いですが是非映画館で観て下さいませ。そのうちDVD化されると思いますが、小さなモニタで鑑賞するのは物足りないと思います。

関連:
映画『ベルヴィル・ランデブー』オフィシャルサイト

予告編:TVの下についている右端のつまみをクリックするとトレーラーが観られます。
『LES TRIPLETTES DE BELLEVILLE』フランス版オフィシャルサイト
『BELLVILLE RENDEZ-VOUS』
『ベルヴィル・ランデブー』の予告編(1M)が観れます。

関連:
「世界の短編100本:24時間大放送!」再放送
シルヴァン・ショメ監督(『ベルヴィル・ランデブー』)の『老婦人とハト』が上映されます。

(後で、ジャック・タチ関連の文章をもうちょっと加筆します。)