種村季弘 綺想の映画館

unun2004-05-20

時計を見ると18:30を回っていたので、諦めかけていたのですが気が付いたら電車に乗って水道橋駅に向かってましたw。DVD持ってるから無理して観に行く必要はないのですが・・・。
こんな無茶をするのは、去年の『幻想の魔術師カレル・ゼマン レトロスペクティヴ』以来。あの時は、ヒドかった。全8プログラムを制覇するぞーって意気込んでいたら、短期間でプログラムが入れ替わるアンコール上映に喰い込んでいた為、平日しか観れないプログラムがっっ。(『シンドバッドの冒険』と『狂気のクロニクル』)せめてひとつでも観ておきたいと思い、昼飯を食べず黙々と仕事をし、気が付いたらおかしなことを口走ってしまいましたー。
『洗濯物が溜まって部屋が大変なことになっているので、1回家に帰らせて下さいー。洗濯機を2回まわして2時間くらいしたら戻ってきますー。』
今考えると、恐ろしく恥ずかしい〜。100%ウソだってバレていただろうなw。
というわけで今回は素直に早退させてもらって、雨の中をダッシュ

水道橋駅の東口を出て歩道橋を渡り、御茶ノ水方向へゆったりした坂を上っていくと左手にノーマンフォスター卿のセンチュリータワー神田川越しに見えてきて、ちょっと我に返ってしまった。『自分はなぜここに??』
いえいえ、ヤンの『アリス』 が上映されるからです。気を取り直してアテネ・フランセ文化センターを目指す。途中、手前の専門学校に間違えて入りそうになりがならも(2回も)なんとか到着。が、上映される4Fまで行くためにエレベーターを探すが、どこにもない!!さんざん迷った挙句、階段で4階に上ることに。そして、4階に上って気づいた。この建物にはエレベーターがないことを。
さらに、『アリス』 の上映される講堂に入ってビックリ!!。天井がなんと切妻の三角状になっている。これは今はなき、銀座シネ・ラ・セットのほとんどの座席がスクリーンに対して席が斜め(増改築によってそうなったっぽい)という不思議な体験以来の衝撃。オモシロイ!!
調べてみて分ったのですが、講堂のある4F部分は1970年に増築されたみたいです。なるほど、いまじゃ4階エレなしは考えられないけど、その当時なら有り(ちなみに今自分が住んでいるとこも4階エレなし築30年)、RC造で切妻屋根にすることはあまりないけど、増築なら防水のことも考えて有り。ですね。(ちなみに、アテネフランセは吉阪隆正さん(ル・コルビュジェのお弟子さん)によるものだそうです。)

おーっと、なんか前フリが長くなりすぎて肝心な『アリス』 について触れられていない〜。要は、増築から30年以上(最初に建てられてからは40年以上も前)経た建物の雰囲気(階段とかヤンの作品に登場しそうなくらいイイ味出ていました。)と、ヤンの『アリス』が凄く合っていて良かったですよーという感想をダイナミックに書きたいのですが、ボキャブラリー不足の頭ではなかなか難しいようですw。
そーいえば、【イジー・トゥルンカ展】の感想で参考にさせて頂いた、

人形アニメーションの本質について、人形は人間のミニチュアではないこと、人形には人形の世界がある、ということだった。これで僕の目から鱗が落ちた。その後、人形の風景は全く変って見えてきた。
図録【イジートゥルンカ展】の『イジートゥルンカ先生像』 (川本喜八郎)より

についてちょっと考えて見ました。『ヤンのアリスにはヤンのアリスの世界がある』って感じに。でもこれを意識しながら観ることは不可能だと気づいて即やめちゃいましたw。頭に言い聞かせて観るのって見方を限定してつまんないなーと思ったので。
その代わり、登場するアリスやうさぎ、ねずみ、骨で作られた生き物や、操り人形、動く肉、芋虫靴下、釘の生えたパン、机の引き出し、インク、クッキー、壁、小屋・・・から、それぞれどんな風景が見えているんだろうと妄想してみました。(おーっと、ここだけ読むとおいらは危険な人に見えるかもw。図星!!)これ結構オモシロかったです。スクリーンに写らない部分を想像することになるので、観る環境やその日の体調によっても妄想の増殖加減が変化しそうだし。そういう意味では、築30年以上のアテネフランセの150席くらいの講堂に、ちょっと無理して足を運んだことは、無駄ではなかったかもw。


関連:
6月中旬発売予定
【楽しき没落 種村季弘の綺想の映画】(仮題)
四六判・上製 予価2000円
種村季弘氏の語り下ろしと厳選した映画評論を収録
(チラシより抜粋)

【種村季弘のウェブ・ラビリントス】

【種村 季弘 × 池内 紀】(ヤンの食卓経由で知りましたw)