岡本忠成[4][計75分]

人形造形とならび岡本作品を語る上で欠かすことのできないのが美術である。小泉八雲の怪談噺にもとづく『ちからばし』では紗を重ねた山水画様式の背景、『虹に向って』では古文書などの調査をもとに作られた橋のセットや、ガラス板にエアブラシで描いた激流の飛沫が一大景観を作り上げている。『鬼がくれ山のソバの花』では日本画の様式を取り入れるため、木工用パテを塗り絵の具を染み込ませたセル画に、墨で描かれた和紙の背景を組み合わせている。なお本作の声優には常連の岸田今日子に加え長岡輝子が登場。方言による語りが作品に独特の味わいを与えている。
ちからばし(‘76・11分・35mm・カラー)
虹に向って(‘77・18分・35mm・カラー)
りすのパナシ(‘78・22分・35mm・カラー)
鬼がくれ山のソバの花(‘79・24分・35mm・カラー)
日本アニメーション映画史より)