アンプラント/ジャック・ドルーアン

NFB(国立組織であるカナダ国立映画制作局)では、多数の正職員によって、良質なアニメーションがわんさか制作されているイメージがあったのですが、『ユーロ・アニメーション』によると、現在の正職員はコ・ホードマンとジャック・ドルーアンの2人のみで、若い作家さんが一本だけ契約で制作を行ったりと、行き来が激しくなっているようです。*1コ・ホードマンの作品に関しては、作品ごとに異なる素材や技法を使っていて自分好み。
ジャック・ドルーアンは、ピンスクリーン(並べられた極細のパイプに細い針が数本ずつ入れられ、それが何万という束になっているような状態のボード)を使っての職人的ナ技法を駆使した作品風なのですが、素人目にはピンスクリーンなのかサンドアニメなのか、全然わからない(汗)。凄いことをやっているのだろうけどいまいちピンと来ない感じだったのですが・・・連句アニメーション『冬の日』のドルーアン監督の担当のアニメーションを観てビックリ!ボード状のピンスクリーンの特性を生かしたつくりになっていて面白い!ボードの角度を変えることによって、ピンスクリーンによる影を意図的に変化させたり、カラーフィルムを透過させることにより、不思議な色合いの作品に仕上がっていました。これを観て、ピンスクリーンってちょっと凄いかもと思い始めたのですが、広島国際アニメーションフェスティバルの『ベスト・オブ・ザ・ワールド3』というプログラムでドルーアン監督の『アンプラント』という作品を観て驚愕!この作品、これでもかっていうくらいに『ピンスクリーン』の特性をアピールしているんです!

●アンプラント/Empreintes*6min3s/2004
○ジャック・ドルーアン/Jacques Drouin
http://www.nfb.ca/empreintes/
※写真の下の『Extrait video』からサンプルが観れます!お薦め!

自分は、大ホールの一番前の席でこの作品を鑑賞したのですが、大画面で見ると一つ一つのピンが動いている様子が、ビシビシ伝わってきました!この作品、凄く自分好みなので、是非DVD化して欲しいです!
以前、『ピンスクリーン』の技法を使う後継者がいないということをどこかで読んだのですが、これから『アンプラント』を観て『ピンスクリーン』に興味を持つ作家さんが増えるような気がします。

ルーアン関連:
NFB作品集 イシュ・パテル/キャロライン・リーフ/ジャック・ドゥルーアン [DVD]
※このDVDはドルーアン作品より、『ビーズゲーム』や『死後の世界』『パラダイス』等のイシュ・パテル作品がお気に入りです。

*1:※そういえば、山村浩二さんもNFB+アクメ・フィルムワークス+ヤマムラアニメーション(加・米・日)で『マイブリッジの糸(仮)』という作品を共同制作中だとか。完成は2年後らしいです。