『MIND GAME(マインド・ゲーム)』

※私的メモ&多少ネタバレ有り。
※観に行く予定の人は他人の感想を読まずに観たほうが良いですよー。(笑)


オープニングから容赦なく展開される細かいカット割りの映像に、思考が振り払われそうに・・・。なんとか感覚でついていくも、ストーリー展開を追えない・・・。やがて、映像は暗闇に移り、そこから一輪の花現われる。その花は、廻り続けながら徐々にズームされ、それぞれの花びらにタイトルの『M』『I』『N』『D』『G』『A』『M』『E』という文字が刻まれる・・・。この一連のシークエンスで、完全に映像に引き込まれてしまった。

自分は、『動き』に新鮮さがあるアニメーションがお気に入りで、ジャンルは古今東西問わず、技法もパペット、切り絵、セル、CGなど、特に拘りはなくなんでもOK。(悪く言えば無節操)ストーリーが面白ければなお良いですが、『動き』に魅力があればそれで満足。
『MIND・GAME』のストーリーは、ぶっ飛んでいて、普通に考えてまず在り得ない展開をパワフルに繰り広げているのは面白いと思う。でも、自分にとってこの作品のストーリー自体はあまり重要ではなく、随所に展開されるデフォルメされた『動き』を繰り広げる映像群に堪らなく幸福感(←ちょっと大げさ)を感じた。
画は基本的にシンプルなのですが、単純化されているがゆえに、デフォルメされた『動き』がさらに際立ち目を引くし、クオリティの高いCGや、実写の合成も嫌味なく溶け込んでいて、CG,3D,2Dを既成の枠組みに囚われることなく自由に行き来しているところに魅力を感じる。これらの映像群が山本精一氏による音楽によってスピード感を増し、緻密な舞台設定を通して、スクリーンから溢れ出し、今田耕司扮する主人公をはじめ、特徴的な各キャラクターの行動や印象的ナ台詞が残像のように脳裏に焼き付いてくる。ただこの作品、何かを語っている気もするし、実は何も語っていないようにも思えた。多分、この作品って、観る人によって印象が異なると思うし、既に観た人でも観る視点を変えることによって違う楽しみ方が出来るようになっているように感じた。(実際、会場には今回でこの作品を観るのが4回目という猛者が何人か居ました。)この辺に関しては、湯浅監督がトークで『この作品はパーツだけを盛り込んであるだけのある意味で未完成な作品なので、観る人がそれぞれ好きに組み立てて下さい。この作品は体感する映画です。』と話していました。正にそんな感じの印象。

静止画を錯覚によって動いているように見せるアニメーション。(CGは違いますが)
一見繋がりの薄いような映像群をスピードに乗せて展開させ、繋がっているような錯覚を引き起こす『マインド・ゲーム』。その展開は観る人によって異なる風景を描き出しているのかもしれない。『マインド・ゲーム』・・・きっと、ゲームを行っているのは観ている本人なのだから・・・

ビバ!!



余談:主人公西くんの台詞がこの映画を象徴していたように思います。
『僕、思ったとおりにやるんです。
誰にも邪魔されず、感じたままに、自分の欲望のおもむくがままに、
どんな法もかいくぐってー』

関連LINK:
がびーん!『MIND GAME』の上映終わっている・・・