先走り?!シュヴァンクマイエル映画祭2004

unun2004-07-10

  • 鑑賞環境:my room?!+液プロくん+白壁!!
  • 開催中[7/10〜]

来週からいよいよ『シュヴァンクマイエル映画祭2004』がはじまりますね。そろそろテンション上げていかないと夏を無事越せなそうなので、以前からやってみたかったヤン・シュヴァンクマイエル32作品(ジェイムス・マーシュ監督によるシュヴァンクマイエルへのインタビュー作品【プラハからのものがたり】を含む)の年代順の鑑賞をはじめますた。映画祭が始まる前に作品をほぼ見終えようという意味不明企画ですw。[7/10開始〜]実際にやってみるとDVDいちいち入れ替えるのが凄くめんどうですー。ひぇ〜。

[01]【シュワルツワルト氏とエドガー氏の最後のトリック】1964/12min/カラー
[02]【ヨハン・セバスチャン・バッハ : G線上の幻想】1965/10min/モノクロ
[03]【石のゲーム】1965/9min/カラー
[04]【棺の家】1965/10min/カラー
[05]【エトセトラ】1966/7min/カラー
[06]【自然の歴史(組曲) 】1967/9min/カラー
[07]【庭園】1967/17min/モノクロ
[08]【部屋】1968/13min/モノクロ
[09]【ワイズマンとのピクニック】1968/11min/カラー
[10]【家での静かな一週間】1969/20min/カラー&モノクロ
[11]【コストニッツェ】1970/10min/モノクロ
[12]【ドン・ファン】1970/33min/カラー
[13]【ジャバウォッキー】1971/14min/カラー
[14]【レオナルドの日記】1972/12min/カラー
[15]【オトラントの城】1973-79/18min/カラー&モノクロ

[16]【アッシャー家の没落】1980/16min/モノクロ
[17]【対話の可能性】1982/12min/カラー
[18]【地下室の怪】1983/15min/カラー
[19]【陥し穴と振り子】1983/15min/カラー
[20]【アリス】1987/84.5min/カラー
[21]【男のゲーム】1988/15 min/カラー
[22]【アナザー・カインド・オブ・ラブ】1988/4min/カラー
[23]【セルフポートレート】1988/2min/カラー
[24]【肉片の恋】1989/1min/カラー
[25]【闇・光・闇】1989/8min/カラー
[26]【フローラ】1989/0.5min/カラー
[27]【スターリン主義の死】1990/10min/カラー
[28]【フード】1992 /17min/カラー
[29]【ファウスト】1994 /96min/カラー
[30]【プラハからのものがたり】1994/26min/カラー
[31]【悦楽共犯者】1996 /83min/カラー
[32]【オテサーネク】2000 /127min/カラー

※制作された年は、書かれているものによって異なるので、シュヴァンクマイエル映画祭2004のチラシ資料を基にしました。
※順番は、書いてあるものによって若干異なるので、YASO2-:+の全作品解説の順番に準拠。但し、【セルフポートレート】【プラハからのものがたり】は含まれていないのでその年の一番最後にもってきています。

[7/12追記]現在、[19]【陥し穴と振り子】まで鑑賞済。この辺の作品はどれも密度が濃い!!!息をつくヒマもございませんよ。ぐったり。(笑)
今夜はとっとと帰って(早めに帰れるかは疑問・・・)【アリス】と短編を観れるところまで鑑賞予定。ちなみに、『オテサーネク』のDVDを持っていないので(実はこの作品、苦手なんです。今回の映画祭でなんとか克服できればいいのですが・・・)先取り鑑賞は[31]、時間がなければ[30]で終了するつもりでございまする。

[7/13追記]昨日は[20]【アリス】から[27]【スターリン主義の死】まで鑑賞。今日は[29]【ファウスト】を鑑賞予定。
なんとなく始めた年代順の鑑賞なのですが、いろいろ感じるところ有りでございます。[30]か[31]まで辿り着いたら、ちょっとした感想を書きたいと思っています。(予定)

[7/14追記]昨日は[29]【ファウスト】と[30]【プラハからのものがたり】を鑑賞。久々にファウストを観たのですが、やっぱこの作品好きです。無茶苦茶ツボ。今夜は、[31]【悦楽共犯者】を鑑賞予定です。

[7/15追記]昨日は[31]【悦楽共犯者】を鑑賞。オテサーネクのDVDは所有していないので、先取り鑑賞は一応終了。夜にでも簡単な感想を書きたいと思っています。(予定)

[7/16追記]シュヴァンクマイエル作品の簡単な感想と個人的ナお薦め(まだまだ知らないことばかりなのですが、思うがままに書いてみます。←チャレンジャー??)
[07]【庭園】がヤンにとって初めてのシュルレアリスム的ナ作品*1らしく、確かにこの作品以降、メッセージの強い作品が多い気がします。そういう意味でも、ヤンはアニメーション作家ではなく、シュルレアリストとしての位置づけをすべき作家なのだと思いますが、(ヤン自身もアニメーション作家として扱われることを嫌っているようです。)、今回の時代順に鑑賞では、今まであまり印象に残っていなかった[07]【庭園】より前の作品([1]〜[6])に結構自分の好きな実験的な作品があることに気付きました。(今まではシュールな作品ばかりに目が向いていたので。)この辺の作品を観ていると、なぜだかカナダの実験アニメーションのパイオニアノーマン・マクラレンが思い浮かんできたりしました。(落ち着いたら、マクラレン作品を通しで観る予定。)ノーマン・マクラレンの作品を観ると、明確なストーリーがなくても、映像と音が調和するだけで十分楽しめる作品になること気付かせてくれます。今までは、あまり印象に残っていなかったのですが、シュヴァンクマイエルの [05]【エトセトラ】も映像と音の調和がステキな作品で、今回の鑑賞でとても好きになりました。
他の映像と音の調和がステキな作品は、[06]【自然の歴史(組曲) 】、[08]【部屋】、[13]【ジャバウォッキー】等多数で初期の作品が多かったのですが、音楽の担当はすべて『ズデニェク・リシュカ』。改めて『YASO2-:+シュヴァンクマイエル』を読んでいると、くまがいマキさんからのヤン・シュヴァンクマイエルへの質問[音楽・音響#2]の中でも、ヤンがズデニェク・リシュカに絶大なる信頼を寄せていたことが分ります。
[15]【オトラントの城】以降の作品では、それまで音楽担当だった『ズデニェク・リシュカ』が他界してしまったことや、政府の圧力により【オトラントの城】の制作が中止されていた時期(1973-79)に、ヤンは『触覚の実験』を始めていて、次の[16]【アッシャー家の没落】から、新たに映像にもその要素が取り入れていたりするので、『【オトラントの城】以前』の作品よりシュールな印象を受けます。ちなみに、『YASO2-:+シュヴァンクマイエル』によると、ズデニェク・リシュカが他界してから、ヤンは音楽に関して相当苦悩したようです。(結局リシュカの代わりを見つけられず、『ノイズ』を用いたり、既存の曲を意識的に使用しています。フィルムアート社の『ユーロ・アニメーション』の『シュヴァンクマイエル、音と映像の分断』は『以後』の作品についての言及だと思います。)

というわけで、『【オトラントの城】以前』と『以後』で作風が若干異なるので、この辺を境にお薦めを挙げたら面白いかなと思います。実験的でちょっとシュールな映像が好きな方は『以前』の作品(映画祭の中ではGプログラムHプログラム。作品のバリエーションが豊かです。)。とにかくシュールでグロい映像が好きな方は『以後』の作品が向いていると思います。但し、『以後』の作品でも、かなりエグイ(個人的ナ感想ですが)Aプログラムの『オテサーネク』や、ヤンの『触覚の実験』要素が満載のBプログラムの『悦楽共犯者』は、ヤンをあまり知らない人がいきなり観ると、相当滅入ってしまう可能性があります(笑)。逆にいきなりこの2つの作品を観て、嵌れる人はどの作品も興味深く観れると思いますが(笑)。

ヤンの作品をあまり知らない方には、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」を下敷きにヤンの解釈の元に創られたEプログラムの『アリス』がお薦めです。この作品は短篇の連作として制作されたものを長篇にまとめた作品なので、ヤンの長篇と短編の特徴を併せ持ち、作品中に多様されるアニメーションの技法もそれまでの作品で使われたものから、『アリス』 以降にも使用される作風などもテンコ盛りで、かなりお得です(笑)。この作品を観てちょっとシュールすぎかもと思えば、『以前』のGプログラムHプログラムへ。シュールな世界にどっぷし嵌ってしまったなら、CプログラムDプログラムFプログラム辺りがお薦めで、さらにシュヴァンクマイエルな世界に浸りたいなら、Aプログラムの『オテサーネク』や、Bプログラムの『悦楽共犯者』を鑑賞するのが良いと思います。(参考までに。)

余談:映画祭のスケジュールを見ると間口の狭いと思われるAプログラムの『オテサーネク』Bプログラムの『悦楽共犯者』の2作品をメイン(この2作品のみ土日祝日を4日含む。C・Dプログラムニ関しては、土日祝日に絡むのは1日だけ。)に持ってきているのは、どういう趣旨なのかはかなり疑問(笑)。(権利関係上の問題ですかね??)

番外:シュヴァンクマイエルの長篇を『結んだハンカチ』(ティールロヴァーとチェコアニメ)のように、『ガールズ編』『ボーイズ編』『アダルト編』『ファミリー編』に分けるなら?!
◇『ガールズ編』は『アリス』
◇『ボーイズ編』は『 ファウスト
◇『アダルト編』は『悦楽共犯者』
そして、
◇『ファミリー編』は『オテサーネク』ですかね(笑)。
(ごめんなさい。悪乗りしすぎました。確かに家族を題材にしてはいる作品なのですが、かなりシュールなので家族で観る場合は良く考えてからにして下さい。)
個人的ナ長編の好みは、『アリス』 =『ファウスト』 >『悦楽共犯者』 >>『オテサーネク』です。今回の映画祭でなんとか苦手な『オテサーネク』 を攻略したいです。

関連リンク:
『シュヴァンクマイエル映画祭2004』[2004.7.17-8.13]

*1:『YASO2-:+』参照